社会で虐待の予防を!

皆さんは、「ソーシャルビジネス」という言葉をご存じですか。社会的課題を解決することを基本理念として展開するビジネスのことで、簡単に言うと、このビジネスが上手く回ると、社会的リスクが減るようにシステム化されているのです。
光栄なことに、私たちNPO日本タッチ・コミュニケーション協会は、経済産業省から「日本の希望!ソーシャルビジネス55選」の1団体に選ばれました。

現代の子育ては昔とは違い、はっきりと指針になるものがありませんから、一生懸命子育てされている方ほどこれでいいのかと疑問を持ち、真剣に取り組めば取り組むほど、迷路に陥る毎日だと思います。 しかし、その体験こそが私たちの取り組んでいるソーシャルビジネスにおいて、専門的スキルを磨く基になります。時間の流れが速く、時代がドンドン変化し、子育ての伝承が困難になっているために、先人の子育て体験と課題解決が社会貢献に役立つのです。 これまでタッチで学んだ方々が、それぞれの活躍の場でタッチ・コミュニケーションを活用されています。たとえば、子育て支援センターで講師を務められたり、産婦人科などの院内サービスとしてセミナーを開催されたり、介護施設などで介護職員さんにタッチのノウハウを人材研修したり、自宅の一室でタッチのサロンを開店された方もおられます。できるところからタッチのソーシャルビジネスを始めてくださり、私たちの活動が広がることがたくさんの人の喜びにつながります。

テレビ等で放送されている虐待のニュースは、とてもひどい、怖い事件が多く報道され、特別な人の特別な環境の中で虐待が起こったかのように報道されます。しかし各地で子育て講座を開催し、お母さんたちと毎日会ってお話を聞いている私は、その報道は偏っていると感じてきました。「一歩誤ると自分だって大変なことになりそうだった」または「今なりそうだ」と不安に感じている母親は思いのほか多いのです。そんな時、真剣にお話を傾聴するということが親のケアとなります。言いにくいことでも話せる安心の場を構築するだけで、悩みを持つ母親は気持ちが整理でき、心が楽になり、子どもと向き合う気持ちが湧いてくる、と口々に言われます。
何より怖いのは、「自分だけは大丈夫、絶対虐待なんか起こるわけがない」という思い込みだと私は思います。虐待の防止策は予防が第一で、まず親のストレスを軽減することです。

2010年05月25日更新
NPO法人 日本タッチ・コミュニケーション協会
宇治木敏子

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